研究課題/領域番号 |
20390294
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
宮脇 利男 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 教授 (10143885)
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研究分担者 |
金兼 弘和 富山大学, 大学病院, 講師 (00293324)
足立 雄一 富山大学, 大学病院, 講師 (80184191)
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キーワード | 制御性T細胞 / FOXP3 / CD4^+CD25^+CD127^<dim>T細胞 / アトピー性皮膚炎 / IL-7R(CD127) / フローサイトメトー / IPEX / 遺伝子解析 |
研究概要 |
本研究の主題である成長に伴うヒトの制御性T細胞の機能発達とその異常について研究を進め、以下の結果を得た。 1)全国より依頼のあったIPEX疑い症例を積極的に解析し、我国におけるIPEX症例の発掘に努め、新規のFOXP3遺伝子変異を有するIPEX一例を診断した。蓄積した5家系でのFOXP3遺伝子変異と臨床像の特徴につき検討し、genotypeとphenotypeの間にある程度の関係を観察している。 2)ヒトの制御性T細胞が非制御性T細胞に比べIL-7R(CD127)発現が微弱であることが知られている。すでに診断のついたIPEX症例を対象に、IL-7R(CD127)発現とFOXP3発現との関係を検討した。興味あることに、IPEX症例のうちFOXP3発現が欠損しているにも関わらず、3例で正常に似て末梢血中にCD4^+CD25^+CD127^<dim>T細胞が存在することが観察された。機能的解析を進めこれら患者は機能的には正常に比べ弱いものの制御性T細胞としての抑制活性を有することを明らかにした。 3)一部のIPEXにFOXP3を発現しないCD4^+CD25^+CD127^<dim>T細胞が観察されたことから、制御性T細胞の分化にはFOXP3分子が必ずしも必須でなく最終的機能の発現に重要であることが示唆された。そのことを検証するために、保因者ではX染色体のランダムな不活化を反映して、FOXP3を発現するCD4^+CD25^+CD127^<dim>T細胞に加えて、FOXP3を発現しないCD4^+CD25^+CD127^<dim>T細胞が存在する可能性が推測され、保因者であることを遺伝的に確認している2例の母親でCD4^+CD25^+CD127^<dim>T細胞におけるFOXP3発現様式を検討した。興味あることに、いずれの例においてもFOXP3陽性と陰性のCD4^+CD25^+CD127^<dim>T細胞からなる2峰性パターンを得た。 4)ヒトでは制御性T細胞にはナイーブ形質とメモリー形質の2種類存在する。これらをCD4^+CD25^+CD127^<dim>T細胞におけるCD45RA発現で分別し、FOXP3発現様式を検討すると、前者でFOXP3発現が微弱で後者でより強く発現していることを観察した。この実もまた制御性T細胞におけるFOXP3発現の役割を暗示させるものである。今後は、両者の機能的違い(抑制能、免疫グロブリン産生への影響、遊走能等)について検討する予定である。
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