研究課題
本研究の目標はITD-Flt3陽性急性骨髄性白血病(AML)細胞の異常増殖に関わるSurvivin機能を明らかにし、正常造血幹細胞(HSC)とは異なるSurvivin下流のシグナル分子を同定することである。これらを基に、副作用が少ない選択的分子標的療法を開発する。以下の3点を明らかにした。1.ITD-Flt3により異常増殖する造血前駆細胞内で、Survivinの下流分子を同定した。これらをヒトAMLの幹細胞で発現異常を示す分子群と比較したところ、137個の分子を見いだした。すなわち、これらはHSCと比べて白血病幹細胞で発現異常が見られ、同時にSurvivinの下流に存在する分子であると推測される。したがって、これらは白血病幹細胞で特異的にSurvivinの下流に存在する分子である可能性がある。これらを機能的に分類するとEGFRシグナルの分子群が有意に多かった。これは、最近報告されているEGFRの抑制によるAMLの治療に対する有効性と一致する。2.ITD-Flt3の下流に存在するSurvivinは、正常造血前駆細胞ではp21^<CDKN1>(p21)依存性、非依存性に機能を発揮する。そこで、ITD-Flt3の異常増殖におけるp21機能を解析した。ITD-Flt3によりSurvivin同様にP21の発現は上昇したが、p21欠損マウス骨髄を用いたITD-Flt3による異常増殖は更に増大した。すなわち、Survivinと異なり、p21は異常増殖に対して抑制的であった。3.Survivin欠損マウスのHSCは正常マウスHSCに比べて増殖機能が損傷される。HSC特異的な転写因子Evi-1発現はSurvivin欠損により減少した。Evi-1をSurvivinの欠損HSCに強制発現するとHSC機能は部分的に回復した。すなわち、SurvivinはEvi-1を介してHSC増殖を制御する。
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Journal of Oncology
巻: (In press)
Journal of Thoracic Oncology
Leukemia
巻: 24巻 ページ: 1975-1977
http://www.med.shimane-u.ac.jp/pediatrics/2-3/2-3.html