研究課題
胎生期における白血病発症の要因を遺伝と環境の側面から解明することが本研究の目的である。我々は遺伝的要因の一つとしてATM遺伝子の不全が絡んでいると考え、胎生期のATM欠損マウスにDNA損傷誘発剤を負荷し、誕生するマウスの異常を解析している。現在生まれてくるマウスのごく一部にT細胞性白血病の発症を見いだしている。詳細については引き続き研究を進めている。胎児期に母体におこったイベントで乳児に悪性リンパ腫が発症することを世界ではじめて明らかにした。母親が産後一か月の時点でPh白血病を発症したケースで、その児が11ヶ月時点で悪性リンパ腫を発症した。フィンガープリントの技術を用いて児の悪性リンパ腫が母のPhクローンに由来することを証明した。興味あることに児は生後1週目で末梢血中にPhクローンを有していることがガスリー血を用いた解析で明らかになった。また悪件リンパ腫細胞における母の組織適合抗原のうち児に引き継がれなかった非遺伝性母組織適合抗原(NIMA)は遺伝子レベルで欠落していることが明らかになり、このことが免疫学的寛容を通して児への生着を許す結果を導いたと考えられた。これらの所見は妊娠母体ならびにその環境の重要性を示すものとして世界的にも多くの国のマスコミに取り上げられ注目された。
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