小児白血病の発症機序解明に向けて胎児環境と遺伝の視点から解明を試みた。妊娠マウスにDNA損傷刺激としてエトポシドを母体腹腔内に投与し、胎児造血細胞の状態の経時変化を追跡した。比較対象として母体マウスの骨髄を用いた。DNA損傷の程度を胎児肝、母体骨髄で解析した結果、胎児肝がはるかに強いDNA損傷応答を示すことが分かった。以上からDNA損傷刺激に対しては胎児の方が母体より強いことが判明した。染色体異常においてもATM+/+、ATM+/-、ATM-/-の遺伝的背景の中でATM-/-では顕著な増加が認められた。発がん遺伝子の効果をATM遺伝子の遺伝的背景の中で比較した。その結果、ATMのhaploinsufficiencyが発がん効果を発揮することを証明した。
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