研究概要 |
表皮水疱症は, 表皮真皮基底膜に存在する構造蛋白をコードする遺伝子の変異で発症する. 近年の研究で, 現在にまで10の原因遺伝子が同定されてきている. そのなかで, 特に, 重症で, 生命予後が悪く, 臨床的に問題となっているのが, VII型コラーゲンの遺伝子異常で発症する栄養障害型である. 本研究では, 我々作成したVII型コラーゲンのconKOマウスを用いて、以下の2つの目標を設定した。まず, VII型コラーゲンの遺伝子治療と蛋白補充療法の有用性を動物モデルで明らかにする。すなわち、ある程度conKOマウスが成長してから、Creリコンビナーゼ誘導剤タモキシフェンを投与して, マウスVII型コラーゲン遺伝子を破壊し疾患を再現する. そして、そのモデルマウスに遺伝子治療や蛋白補充療法の実験を行い、その治療効果を判定する。次に, ヒトVII型コラーゲンの抗体を産生するマウスを, 2つの誘導剤にてマウス遺伝子を破壊し, ヒトのVII型コラーゲンを発現し, その抗体が自己抗体になるようにする. このモデルマウスにより, 後天性表皮水疱症治療法の検討を行う. 平成20年度は、1) コンデショナル(con) KOマウスの解析をおこない、Neo遺伝子やCreリコンビナーゼが、正しく組み込まれているのを確認した。さらに、2) トランスジェニックマウスの解析を行い、タモキシフェン投与でCreを誘導可能なTGマウス(CMV-Cre-ER), 表皮のみでCreリコンビナーゼを発現するTGマウス(K14-Cre), 真皮のみでCreリコンビナーゼを発現するTGマウス(COL-Cre), 表皮のみでCreリコンビナーゼ発現しかつ誘導可能なTGマウス(K14-Cre-ER), が正しく働くことを確かめた。 以上より、研究の予定通り、一年目を終了した。
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