我々は、5-HT/GABA共存細胞の縫線核からの投射先における5-Hivesicleの存在を確認したが、GABAのそれは認められなかった。このことから、GABAが複数同時の情報伝達のために存在していないことが推察されたため、細胞体における複数の伝達物質は細胞体の活動性を調節する情報のfeedbackなのか?この問題を明らかにするため、現有設備の電気生理学的解析法(single cell paich clump)を用いて、5-HT/GABA共存ニューロンの電気生理学的性質を追究した。さらに、パッチクランプ法による機能解析を同時に実施するため5-HT/GABA共存ニューロンの同定にRT-PCR法を導入した。それぞれの特異マーカーである5-HT合成酵素(TPH)およびGABA合成酵素(GAD)のパッチクラクプ法で使用したガラス管中のmRNAを同定し、共存ニューロンの指標とした。 共存ニューロンの電気生理学的特性として、(1)脱分極側ヘシフトさせた際の活動電位の発火頻度の低下と(2)amplitudeの減少、(3)過分極側ヘシフトさせた際の膜抵抗減少が認められた。今後この共存ニューロンの機能解析を遂行することにより、5-HT系GABA系相互調節機構の解明のみならずストレス応答異常を基盤とする様々な精神疾患の病態解明および新たな治療法への端緒となることが期待される。
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