研究課題/領域番号 |
20390316
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
山田 和男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 副チームリーダー (10322695)
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研究分担者 |
吉川 武男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, チームリーダー (30249958)
大西 哲生 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (80373281)
服部 栄治 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 客員研究員 (80399443)
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キーワード | 脳・神経疾患 / 遺伝子 / シグナル伝達 / ゲノム / マイクロアレイ |
研究概要 |
カルシニューリン情報伝達系は、中枢神経系における神経可塑性や神経成長因子の作用、さらに虚血性脳疾患や神経変性疾患における興奮性神経細胞死などに関与し、統合失調症においてその異常が繰り返し報告されているドーパミン神経伝達系とグルタミン酸神経伝達系の両方のシグナル伝達の下流に位置している。また我々は、カルシニューリン関連遺伝子群(PPP3CC遺伝子及び複数のEGRファミリー遺伝子)に統合失調症発症に関わる遺伝的脆弱性があることをこれまでに報告してきた。そこで、本研究では、カルシニューリン情報伝達系と統合失調症との関係を明らかにし、新たな治療戦略のターゲットになりうる分子を同定すべく、カルシニューリン情報伝達下流因子の統合失調症への関与を網羅的に検索した。まず、前年度までに全染色体の網羅的関連研究およびカルシニューリン系遺伝子群とその下流遺伝子群の網羅的検討を行い、そこで得られた候補遺伝子群についてさらに2000人規模の高密度SNPsジェノタイピングを行った。そこには、今までに報告されていない疾患脆弱性遺伝子も含まれていたが、興味深いことにGABA晴報伝達系シグナルパスウェイに集中した疾患関連シグナルが認められた。そこで、本年度は、GABA受容体関連遺伝子群および我々の同定した疾患脆弱性遺伝子群について、(1)統合失調症患者死後脳と健常対照群死後脳の解析から統合失調症ではGABA受容体関連遺伝子群で脳内mRNA発現量の変化が見られること、さらに(2)GABA関連遺伝子改変マウスの遺伝子発現解析/行動解析からこのマウスに統合失調症類似の変化が見られることを確認した。また、遺伝子改変マウスにおいて神経発達に伴うGABAおよび関連物質の変化を経時的に測定し、GABA系遺伝子群が神経形成にどのような影響を与えているかを検討した。
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