研究課題/領域番号 |
20390317
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
楯林 義孝 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (80342814)
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研究分担者 |
菊池 尚美 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (30450589)
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キーワード | 大うつ病 / 双極性障害 / 統合失調症 / オリゴデンドロサイト / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / フリーサイトメーター |
研究概要 |
近年、死後脳切片を用いた組織化学的研究によると、大うつ病(major depressive disorder:MDD)、双極姓障害(bipolar disorder:BPD)、統合失調症(schizophrenia:SCH)では脳の構造的変化(特に前頭葉)が生じており、それらが灰白質におけるオリゴデンドロサイト系譜の細胞数の減少によるものである可能性が示唆されている。我々はより簡易的、客観的にそのような異常を解析するためフローサイトメーターを用いて凍結死後脳を解析する方法を考案した。MDD(n=10)、BPD(n=12)、SCH(n=10)、対照コントロール(n=12)のヒト脳前頭葉灰白質(BA10)における、神経細胞、オリゴデンドロサイト(前駆細胞)の割合、および細胞数を解析したところ、脳組織1mgあたりの細胞数では、対照コントロールに対して、MDD、BPD、SCH全ての群で有意に減少していた。さらに詳しく解析すると、成熟神経細胞のマーカーであるNeuN陽性細胞数は、対照コントロールに比べてMDD、BPD、SCH全ての群で有意差はなかったが、オリゴデンドロサイト系譜のマーカーであるolig2陽性細胞数では、対照コントロールに比べてMDD、BPD、SCH全ての群で優位に減少していた。NeuN陰性/olig2陰性細胞数では、対照コントロールに対して、MDDのみ優位に細胞数の減少が見られたが、BPD、SCHでは優位差はなかった。現在側頭葉灰白質(BA20)でも同様の異常がないか検討中である。また、セルソーターを用いて各々の細胞種を疾患別に採集し、DNAのメチル化などに異常がないか検討を行う予定である。
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