研究課題/領域番号 |
20390318
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
功刀 浩 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第三部, 部長 (40234471)
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研究分担者 |
沼川 忠広 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第3部, 室長 (40425690)
藤井 崇 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第3部, 外来研究員 (10450610)
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キーワード | 遺伝子 / 神経科学 / 脳神経疾患 / 薬理学 / 神経栄養因子 |
研究概要 |
本研究は、脳由来神経栄養因子などのニューロトロフィンとその受容体の精神疾患における役割を明らかにすることを目的としている。そこで、昨年度までにニューロトロフィン共通の低親和性受容体であるp75NTRを前脳特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスを作成した。本年度は、これらのマウスの解析を開始した。まず、ゲノムに組み込まれたコンストラクトのコピー数を明らかにするためにサザンブロットを行った結果、4系統のp75NTR過剰発現マウスのうち、ラインAおよびDでは30コピー、ラインBでは100コピー、ラインCでは10コピーがゲノムに組み込まれていた。さらにゲノムに組み込まれたコンストラクトからp75NTRタンパクが実際に過剰発現しているかどうか検証するためにウエスタンブロットや組織化学的解析を行ったところ、実際に野生型マウスと比較して過剰発現していることが確認された。また、今後の解析はラインBとラインAを用いて研究を進めることが妥当であると結論した。現在、マウスの行動解析を行うために、繁殖させているところである。 さらに、われわれが見出したp75NTRのアミノ酸置換型の遺伝子多型変異(S205L)について精神疾患との遺伝子関連解析も行った。その結果、この遺伝子多型はうつ病と有意に関連しており(対立遺伝子頻度でP=0.0114)、われわれの既報(Kunugi et al : Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet 2004)の結果が支持された。従って、p75NTRはうつ病発症において重要な役割を果たし、薬物の標的分子であることが確認された。
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