研究概要 |
1) 根治的放射線治療を行った悪性腫瘍患者7名(術後再発食道癌4例、非小細胞肺癌1例、小細胞肺癌1例、悪性神経鞘腫1例)に対し[18F]FRP-170によるイメージングを治療前に行った。放射線治療に対する反応がNCであった悪性神経鞘腫と食道癌の1例のSUVが1.75, 2.14であり、他のPR, CRであった5例の平均1.31より明らかに高い取込であった。 2) 呼吸器外科との共同研究のもと、肺癌の術前症例を対象としてFRP170PETを施行し、摘出標本で(1)HIF-1α(2)VEGF(3)CA-IX(4)GLUT-1、4種類の免疫染色を行った。肺癌患者7例(扁平上皮癌3例、腺癌4例)を対象とし、18^F-FRP170約10mCi静注後1時間および2時間の時点でPET/CT撮影を行った。染色の評価はPETの情報なしに病理専門医により行われ、標本中陽性細胞の割合(%)を評価し、arcsin変換を施行した。arcsin変換後の陽性率50以上と未満で群分けし、PETの測定因子についてt検定を施行した。CA-IXでFRP SUVmax、Hypoxic volume(筋肉のSUVmeanより高い取込の体積)、腫瘍/筋肉比で有意差が得られた。HIF-1α・VEGF・Glut1に関しては、いずれのパラメーターも有意な相関を示さなかったが、CA-IXに関しては陽性率50%以上・未満で群分けした際、T/M2hなどで有意差が得られた。CA-IXは内因性の低酸素マーカーとされ、動物実験レベルにおいてFMISO集積との有意な相関が報告されている。VEGF等さまざまな遺伝子の転写活性化を引き起こし低酸素応答に関与するHIF-1αの発現よりはぐCA-IXのように細胞が低酸素に陥った結果導かれる内因性マーカーの方が、細胞の低酸素状態をより正確に反映している可能性があることが判った。
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