研究概要 |
脳神経外科との共同研究のもと、脳腫瘍8症例を対象として[^<18>F]FRP170 PETを施行し、その所見と、[^<11>C]methionine([^<11>C]Met)PET、[^<18>F]fluorodeoxyglucose([^<18>F]FDG)PET、MRイメージ、Proton MR spectroscopy、摘出標本でのHIF-1α免疫染色所見との比較検討を行った。8症例の内訳は、glioblastoma multiforme3例、oligodendroglioma2例、他diffuse astrocytoma, anaplastic ganglioglioma,再発anaplastic astrocytoma各一例ずつでめった。約370MBqの[^<18>F]FRP170を静注後2時間の時点でPET/CT撮影を行った。[^<18>F]FRP170の取込は、3例のglioblastoma multiformeで高度の取込が認められ、再発anaplastic astrocytomaと1例のoligodendrogliomaで中等度の取込、他の3例では取込を認めなかった。また、3例のglioblastoma multiformeではHIF-1αのupregulationが認められ、[^<18>]FRP170取込との明らかな相関が示唆された。[^<18>F]FRP170取込と[^<18>F]FDG取込やMRイメージ増感部位とには弱い相関傾向を認めたが、[^<11>C]Met取込との相関は全く認めなかった。[^<18>F]FRP170 PETは、proton MR spectroscopyによる乳酸ピーク出現より低酸素検出に関してよりsensitiveと考えられた。この新低酸素イメージング剤を用いることにより非侵襲的に、脳腫瘍の低酸素状態を術前に評価することが可能であろうと思われる。
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