研究課題
平成21年度に完成した、非対称精密磁場超伝導磁石を利用して、本年度は画像の取得を行った。まず、中心磁場が0.77テスラになるように、超伝導磁石を励磁した。磁石の磁場分布測定と鉄片によるシミングのイタレーションを繰り返し、磁石中心の35mm球内で正165ppmの均一度が得られた。画像取得に必要な勾配コイルは、外径72.6mm、内径39.3mmのものを使用し、非磁性の支持台の上に固定した。信号検出アンテナは、直径23mmの円形コイルとした。磁場0.77テスラでの水素の磁気共鳴周波数(33MHz)において、信号を伝送する同軸ケーブルとの間でインピーダンスを整合できるように、適切なキャパシタンスを持ったトリマコンデンサを、コイルに対して直列および並列に1個ずつ取り付けた。また、同周波数のRF信号を入出力できる分光計と、勾配コイル電源などを接続し、勾配コイルの渦電流補正などの調整作業を行った。画像取得のための測定試料には、球形の内部空間を持った樹脂容器に満たした水と、野菜(オクラ)を使用した。試料容器は内径5mmおよび10mmのものを1個ずつ製作した。試料を磁石中心部に置いて、スピンエコー法にて2次元の画像を取得した。磁気共鳴スペクトルの半値幅や、画像の信号対雑音比、信号均一度などの評価を行った。以上の結果から、非対称精密磁場超伝導磁石に関する基盤技術が確立された。この構造にもとづいて、ヒト用のMRI装置が開発されると、従来は不可能であった被験者の手作業を伴う機能的MRI測定の実現につながる。被験者が自然な姿勢と視野で、認知症の診断に有効なベントン視覚記銘検査を受けることができるので、その間の海馬の活動から認知症の診断が可能になる。
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Journal of Applied Physics
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IEEE Transactions on Applied Superconductivity
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