研究概要 |
本研究では,中心周波数0.5MHzと1.0MHzの超音波アレイプローブを用い,手動によるアレイプローブの走査を行い溝表面の画像化を行った.アレイプローブは,1度に複数のデータ取得が可能な装置であり,臨床用として必要不可欠な構造である.本研究では脳診断のための脳画像超音波アレイシステムを開発した.まずアレイプローブを用いて取得したデータに対して,骨(頭蓋骨)表面からの反射波を検出し,取得波形との相互相関係数を求めて表面反射波の位置を決定する.次にファジィ推論により3つのルールを用いて骨底面からの反射波の位置を決定する.そして,決定した表面,底面位置及び骨の音速を用いて頭蓋骨の形状を測定する.次に,0.5MHzの超音波アレイプローブによる取得データと1.0MHzの超音波アレイプローブによる取得データを合成したデータより作成したB-mode画像から,骨下にある対象物体(脳)の表面形状を抽出する. 実験では,より生体に近い条件として,頭蓋骨として牛の肩甲骨を,脳溝を模した対象物体として鋼製の溝を用いた.本手法を適用した結果,牛の肩甲骨の厚みを真値に近い値で測定できた.0.5MHzのアレイプローブによる取得データと1.0MHzのアレイプローブより取得したデータを合成したデータより作成したB-mode画像から溝部分を抽出した結果,1.0MHzのアレイプローブのデータの強さが80%の場合において,真値との誤差が幅においては2.86mm,深さにおいては0.59mmとなり,0.5MHzのアレイプローブによる取得データのみを用いた場合に比べて精度が向上した.
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