研究課題/領域番号 |
20390335
|
研究機関 | 滋賀県立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
西井 龍一 滋賀県立成人病センター, 画像研究部門, 専門研究員 (60463212)
|
研究分担者 |
東 達也 滋賀県立成人病センター研究所, 画像研究部門, 総括研究員 (50324629)
加川 信也 滋賀県立成人病センター研究所, 画像研究部門, 研究員 (10393191)
川井 恵一 金沢大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30204663)
|
キーワード | ヒストン脱アセチル化酵素 / PET画像診断 / 癌 / 分子標的 / 国際情報交換 / アメリカ |
研究概要 |
遺伝子発現過程で重要なヒストン蛋白の脱アセチル化反応に着眼し、その酵素:HDACの基質となるPET診断薬:^<18>F-FAHAを新規合成し、癌組織内HDAC活性のBiomarkerとなるPET診断法を開発する。SAHAなどのHDAC酵素阻害剤は分子標的抗癌剤として注目され、^<18>F-FAHA-PETは、癌の早期診断や、HDAC酵素阻害剤による治療効果予測や治療後効果判定などを可能にし、HDAC酵素阻害剤による癌分子標的治療に大いに寄与すると期待される。平成20年度の研究成果は以下の通りである。 1、コンピュータ分子設計に基づき、ドッキングスタディ検討などで得られた複数の候補化合物に対してHDACによる脱アセチル化反応性を検討した結果、HDAC阻害薬:SAHAの類似体である6-(fluoroacetamide)-1-hexanoicanilide(FAHA)を、本研究における新規分子イメージングプローブとして選択した。 2、6-([^<18>F]fluoroacetamide)-1-hexanoicanilide(^<18>F-FAHA)の標識合成は、6-amino hexanoic acidを前駆化合物として放射性フッ素(^<18>F)標識を行い、将来の臨床検査にも十分応用可能な合成法確立に成功した。(総合成時間100分、標識率15%、放射化学的純度97%以上)。 3、乳癌細胞などの腫瘍細胞について、マイクロアレイ法による遺伝子網羅的解析の結果、腫瘍細胞におけるHDAC遺伝子の発現亢進を確認した。また乳癌細胞を用いた^<18>F-FAHAの集積実験では、早期よりトレーサの腫瘍内への集積・滞留が確認され、HDAC阻害薬(SAHA)を用いた集積阻害検討ではトレーサの腫瘍内取り込みが著明に抑制されることから、^<18>F-FAHAの腫瘍内集積にHDAC酵素が関連していることが確認された。
|