研究課題
遺伝子発現過程で重要なヒストン蛋白の脱アセチル化反応に着眼し、その酵素:HDACの基質となるPET診断薬:^<18>F-FAHAを新規合成し、癌組織内HDAC活性のBiomarkerとなるPET診断法を開発する。SAHAなどのHDAC酵素阻害剤は分子標的抗癌剤として注目され、^<18>F-FAHA-PETは、癌の早期診断や、HDAC酵素阻害剤による治療効果予測や治療後効果判定などを可能にし、HDAC酵素阻害剤による癌分子標的治療に大いに寄与すると期待される。平成2年度の研究成果は以下の通りである。1、平成20年度に合成成功した^<18>F-FAHAの将来の臨床使用に向けた、合成反応時間、収量等のさらなる改良を図る検討を引き続き行った。その結果、高純度、高比放射能標識の^<18>F-FAHAの安定した合成法改善に成功した。2、実験小動物を用いた^<18>F-FAHAの画像化検討を行った。担癌ラットを用いたPETでは腫瘍の良好な描出に成功し、さらにHDAC阻害薬(SAHA)前処置では集積阻害を認めたことから、^<18>F-FAHAの有望性が確認された。また正常マウスの脳切片を用いて^<18>F-FAHAの集積とHDAC阻害薬との競合阻害検討から、生体内において^<18>F-FAHAはHDACの基質となっていることを確認した。^<18>F-FAHA投与時及びHDAC阻害薬同時投与の血中や画像から得られた薬剤の動態解析からは、所期の通り^<18>F-FAHAは投与後速やかに体内HDACとの反応によりF-フルオロ酢酸に代謝されることが予想された。さらなる確認・検証も進行中である。3、サルを用いた画像化検討にも着手した。その結果、薬剤の肝、腎への集積排泄が認められた他、脳などの集積も認められ、HDACイメージングの脳神経分野への可能性も示唆された。現在引き続き薬剤動態検討や臨床使用時の放射線被曝予想シミュレーションも行っている。
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