研究課題
本申請者らは成人の主要臓器の微小血管を可視化するための高輝度擬似単色X線の基礎開発に取り組んでいる。既に、陽極にセリウムを用いることでヨード検出に特化した34KeV付近にエネルギーのピークを有するセリウムのKα蛍光X線(34.6KeV)を中心とする擬似単色X線を得た。この方法は金属フィルターによる擬似単色X線化というX線量低下を伴うプロセスが無いという点で高輝度化に有利である。さらに、その陽極を回転陽極とすることで、擬似単色X線の連続照射が可能である。上記の研究では小熱容量のX線発生器、200KHU程度のものを使用した試作装置であるにも関わらず、犬の摘出心臓の心筋内微小血管を数秒間連続撮影することが可能であった。本年度は、臨床応用に向けた今後の課題として体厚20cm以上の成人と頭、胸、腹部を被写体として、20秒程度の連続撮影が可能な程度に高輝度化した装置の開発に取り組んでいる。このために発生装置の熱容量を5MHUまで高め、高輝度化に対応した回転セリウム陽極を開発している。この擬似単色X線源と空間解像度25-50ミクロンの高精細検出装置を組み合わせた造影システムを最終的に実現する。高輝度化回転セリウム陽極の開発には日立メディコ社の協力を得て、真空中でセリウムを陽極に溶着する技術を開発し、セリウムの酸化防止に取り組んでいる。また、加工時の油脂分を取り除くための脱脂洗浄、表面磨き、脱ガス処理等を施すなどの付加的技術も開発中である。融点の低いセリウム陽極から高輝度X線を得るためには高速で陽極を回転させることが必要となり、耐久性の高い陽極の開発も実施中である。検出器として解像度のCMOS-フラットパネル検出器を開発中である。
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Radiol Phys Technol. 2009 ; 2
ページ: 77-86
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Jpn. J. Appl. Phys. 2008 ; 47(6)
ページ: 4772-4776