研究課題
膵島移植は安全・簡便・低侵襲といった多くの利点を備えた患者に優しい画期的糖尿病治療法であるため、欧米の一部では既に保険適応となっている。しかし、一人の患者の治癒に複数ドナーを要するという致命的課題を有しているため、ドナー不足が深刻な我が国においては一般医療に至っていないのが現状である。本研究においては我々のこれまでの移植後早期グラフト障害に関する詳細な研究成果に基づき、分子生物学・免疫学・移植外科学・内分泌学の最新知見を革新的に融合させ、独創的な着眼に基づく多角的アプローチの導入により膵島グラフトの生着促進を試みることを目的としている。本年度は、まず膵島自身が産生する炎症性メディエーターの制御によるグラフトの質の向上を目指し研究を行った。その結果、膵島はまず脳死ストレスにより炎症起因性メディエーターの放出が促されることが判明し、それを有効に制御し得る臨床応用が望める抗炎症剤の候補を見出すことに成功した。今後、その有用な抗炎症剤を膵島分離工程の各ステップに導入し、分離膵島の質へ及ぼす影響について検討を加えていく予定である。また、本年度はエネルギーステータスの向上を目的とし、酸素ナノバブル水をべースとした新規膵臓保存溶液の開発にも着手し、臨床に準じた長期冷保存モデルにおいて、分離膵島の収量・質が改善することを見出したが、今後臨床応用を目指していく上では、膵島分離酵素剤の阻害活性を制御する必要があることもあわせて判明した。
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