研究課題
本研究は、上部消化管(胃癌、食道癌)術後の体重減少が食欲増進ホルモン・グレリンに起因することを明らかにし、さらにグレリンを補うことにより経口摂取障害、体重減少を改善すること目的している。昨年度までに胃全摘術後患者、食道癌胃管再建患者、それぞれ20名に対し、術後10日間のグレリン投与(3μg/kgl日2回)のランダム化比較試験を行った。グレリン投与群は食欲(VAS)、摂取カロリー、体重に於いてプラセボ群に優っていた。また体組成として脂肪は減少するが除脂肪体重は減少しにくい傾向を認めた。これらについて論文を作成し報告した。(Gastroenterology,138(4):1312-1320,2010)(Surgery,148(1):31-38,2010)新たなテーマとしてグレリンの抗炎症・抗侵襲作用について食道癌患者を用いて検討した。グレリンは術後1日目に術前置の約1/3まで低下しており、その低下の程度は術後のSIRS期間や炎症反応と良く一致した(論文投稿中)。患者は絶食状態であり、これは食事摂取に関係しない新しい現象である。現在、術直後よりグレリンを投与しSIDS期間の短縮が可能である否か検討する予定である。まず第一段階として術後急性期にグレリンを使用するという安全性について臨床試験を開始している。また、昨年来の胃全摘の標本を用いてグレリン産生細胞の分布と血中グレリン、萎縮性胃炎、ピロリ菌感染などとの関係を調べるグレリンマッピングの研究については、12例のマッピングをもって論文投稿している5グレリン産生細胞の分布は個人差が極めて大きく、胃癌の組織型と関連するなどの知見が得られた。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (2件)
Gastroenterology
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