研究課題/領域番号 |
20390344
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大段 秀樹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10363061)
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研究分担者 |
井手 健太郎 広島大学, 病院, 助教 (50511565)
田中 友加 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 研究員 (90432666)
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キーワード | 異種移植 / T細胞性免疫応答 / B細胞性免疫応 / 自己認識機構 |
研究概要 |
我々は、異種間でのCD47-SIRPαシグナルの不応答がマクロファージによる自然免疫応答を引き起こし異種移植臓器の拒絶反応を誘発すること、またブタ細胞へのヒトCD47遺伝子の導入によりマクロファージ性拒絶機構が回避し得ることをこれまでの研究で解明した。ヒトCD47トランスジェニック(Tg)ブタからの組織・臓器移植を想定する揚合、自然免疫応答に引き続き起こる獲得免疫応答のうち、抗原提示細胞とT細胞、B細胞の細胞間コミュニケーションにおけるCD47-SIRP抑制シグナルの機能解析と、CD47遺伝子の修飾による異種間免疫応答の影響を解明する必要がある。本研究では、ブタ抗原提示細胞へのヒトCD47遺伝子導入が直接認識経路によるanti-xenoヒトCD4^+T細胞応答に与える影響を解析した。ブタ肺胞マクロファージ細胞株をIFN-γおよびTNFαで刺激することによりclassII分子を発現すること、ヒトT細胞上にはSIRPαが発現していないことがフローサイトメーターで確認し得た。さらにヒト末梢血リンパ球とヒトCD47遺伝子導入あるいは非導入のブタマクロファージの混合培養系でヒトT細砲分裂効果を解析したところ、少なくともヒトCD47遺伝子導入により過剰なT細胞応答が惹起されることはなかった。一方では、より強力な抗原提示能をもつヒト樹状細胞がブタ細胞を貧食する際に受けるCD47-SIRPαシグナルが、その貧食能に及ぼす影響を解析した。ヒト末梢血リンパ球からGM-CSFとIL-4の存在下で培養し得られたヒト未成熟樹状細胞と、ヒトCD47遺伝子導入あるいは非導入のブタリンパ芽球様細胞株(標的細胞)を混合培養した。標的細胞はあらかじめ蛍光色素(CFSE)で染色しフローサイトメーターで定量的に貧食能を評価したところ、ヒトCD47遺伝子導入したブタ細胞に対しては非導入のブタ細胞と比べ、少なくとも過剰な貧食反応は示さなかった。
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