研究概要 |
(目的)乳癌を用いて癌性幹細胞制御の可能性を検討した。(材料と方法)我々が同定しているPatched1蛋白親和性ペプチドとMCF7を共培養し、乳癌幹細胞分画であるCD44+/CD24^<-/low>の変化をflowcytometryを用いて検討した。昨年の検討で使用した1μg/mlではペプチドの効果を認めなかったので、今回は濃度増加による効果を確認した。(結果)CD44+/CD24^<-/low>とCD44+/CD24^<high>細胞分画の生着率は、1コロニー当たり細胞数2,000/20,000/200,000個を接種したところ、生着コロニー/接種コロニーは各々0/4,8/8,4/4(CD44+/CD24^<-/low>細胞分画)、0/4,1/8,2/4(CD44+/CD24^+細胞分画)であり、我々の手法で分離したCD44+/CD24^<-/low>細胞分画が実際に癌幹細胞を高濃度に含んだ分画であることが証明された。次に、以前我々が抗Hedgehogシグナル効果を持つことを示した新規Patched1親和性ペプチドを用いて、上記癌幹細胞分画の制御を試みた。Patched1親和性をMCF7細胞を共培養しflowcytometryで解析したところ、1μg/mlにでは明らかな効果を認めなかったが、10μg/mlではCD44+/CD24^<-/low>分画の割合が減少した。ペプチド濃度依存性にCD44+/CD24^<-/low>細胞分画が減少することが確認された。(考察)Patched1親和性ペプチドは、以前報告したMCF増殖抑制に加えて、MCF7癌幹細胞分画の制御が可能であることが示された。以上より、新たな癌幹細胞制御法による難治癌克服のための創薬の方向性が示された。
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