研究課題/領域番号 |
20390356
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (60263084)
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研究分担者 |
安近 健太郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (00378895)
石井 隆道 京都大学, 医学研究科, 医員 (70456789)
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キーワード | ヒトES細胞 / 分化誘導 / 肝細胞 / 細胞移植 / ヒトiPS細胞 |
研究概要 |
肝疾患に対するヒトES細胞誘導肝細胞移植による治療を行う上で問題となってくるのは、(1)ES細胞からの効果的な分化誘導法の確立と、(2)治療効果の検討である。(1)に関しては、in vitroでのES細胞の肝細胞への分化誘導において、共培養を行わずにOncostatinMとActivinAを用いた分化誘導法にて肝細胞様の細胞に誘導できることがわかってきたが、成熟肝細胞に匹敵する肝細胞機能を持つ細胞への分化はまだ確立していない。我々の研究では、マウス胎仔肝由来の間葉系細胞とヒトES細胞を共培養することで、より高度な肝細胞機能を持つ細胞へと分化させることに成功した。また、我々の研究では倫理面や免疫の問題でES細胞より優れているヒトiPS細胞に関して、ES細胞同様にOncostatinMとActivinAなどを用いて、肝細胞様細胞へと分化させることに成功した。また、iPS細胞の中でもコロニー間で肝細胞により分化しやすいものとそうでないものがあり、このコロニー間のエピジェネティックな違いを調べることで、より効率的に肝細胞へ分化するコロニーを選別できることを示した。(2)に関しては、ESまたはiPS細胞を分化誘導して移植を行う際に、移植細胞の分化段階による治療効果の違いが問題となる。これに関して、我々は、成熟肝細胞・胎仔肝細胞・ES細胞由来内胚葉細胞を急性肝障害モデルマウスに同じ条件で細胞移植し、その生存率を比較検討する実験を行い、より分化した細胞のほうが治療効果が高いことを示した。この研究から、ES/iPS細胞を肝細胞に分化誘導し細胞移植する際には、より肝細胞へ成熟化させた細胞を使用するほうが、治療効果を高めることが示唆された。
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