研究課題
ヒトゲノムの完全解読に伴い各種の公共データベースが整理され、ファンクショナルゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクスなどOMICS技術が急速に発展し、がん医療はこれまでの生命科学研究の集大成を土台に大きな革新を迎えようとしている。我々は、大腸がんの治療戦略として個別化(テイラーメイド)医療の確立が必須であると考え、多角的に研究を続けている。本研究では、これまでの病理組織診断では困難であった大腸がんの発生・転移・再発や、治療応答性などに関連する分子マーカーの探索とprospectiveな検証によって、大腸がん外科学における臨床診断・予後の改善を目指すことを目的としている。具体的には体系的な遺伝子・タンパク発現からみた発生・転移・再発に関与する数種類のkey分子の同定と、特異的メタボライト解析から治療応答性に関与する分子を同定し、臨床応用化することを計画した。遺伝子とタンパク発現解析より、大腸がん患者の術後肝・肺再発において特異的に発現する約50種類の分子を同定した。またメタボライト解析により健常者の中からの大腸がんを発見する検診レベルでの血清screeningに有用な6種類のバイオマーカーを同定した。現在これらのcandidateを検証している。さらに大腸がん患者に対する5FU base+CPT-11,OHPなど薬剤感受性・耐性獲得に関与するバイオマーカー、直腸がん患者に対する放射線感受性性に関与するバイオマーカーを探索している。今後、一定のsubpopulationを個別予測できる診断システムを構築し、現在prospectiveに集積している症例を用いて十分検証する。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
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