研究課題
〔研究の目的〕(1)脂肪肝グラフトにおける機能不全機序解明と生体肝移植での適用、(2)脂肪肝における虚血再潅流傷害・肝再生の制御を通して、(3)脂肪肝過小グラフトの包括的治療法の確立を目的とする。〔研究実施計画〕平成20年度:脂肪肝モデルを作成し、肝切除・虚血再潅流傷害モデルでの検討を行う。平成21年度以降:20年度で得られた知見を応用して肝移植モデルでの検討を行う。〔研究実績の概要〕1.ラット脂肪肝モデルの作成:WisterラットにMCDD(メチオニン・コリン欠損食)を負荷し、脂肪肝モデルの作成を試みた。4週間のMCDD投与後に犠死させ、肝臓を摘出し組織学的に肝細胞内の高度の脂肪滴を確認した。またOLETFラット(2型糖尿病発症モデル)に同様にMCDDを投与し非アルコール性脂肪性肝炎モデルを確立した。2.ラット脂肪肝モデルでの虚血再潅流傷害挿制の試み:1で作成したラットの脂肪肝に温虚血をかけ、脂肪肝の温虚血再潅流傷害モデルを作成した。我々は抗酸化、抗炎症作用を有する半消化態濃厚流動食、MHN-02に注目し、これを脂肪肝温虚血再潅流傷害モデルに投与した。コントロール群と比較して、MHN-02投与群では肝傷害が抑制され、生存率が者明に改善した。3.ラット肝虚血再潅流傷害に対するfollistatin投与の郊果に関する検討:Statinは心、腎の虚血再潅流傷害に対する保護効果、また肝再生効果を有すると報告されている。ラット肝虚血再潅流傷害モデルにおいてfollistatinを投与すると、activin βa、AST、ALT、LDHが有意に低下し、生存率が著明に改善した。4.ラット脂肪肝肝移植モデルの作成:最終的な研究目標はラットで脂肪肝部分肝移植を行い、実際の臨床生体肝移植に近いモデルでの検討を行うことである。現在ラット肝移植の手技を習得中である。
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Dig Dis Sci 53
ページ: 2989-2994