研究課題
〔研究の目的〕脂肪肝グラフトにおける機能不全機序解明と生体肝移植での適用、脂肪肝における虚血再還流障害・肝再生の制御を通して、脂肪肝過小グラフトの包括的治療法を確立することを目的とする。〔研究実施計画〕平成20年度:脂肪肝モデルを作成し、肝切除・虚血再潅流傷害モデルでの検討を行う。平成21年度以降:20年度で得られた知見を応用して肝移植モデルでの検討を行う。〔研究実績と展開〕1. Severe NAFL model ratの作成:Wister系ラットにMCDD(メチオニン・コリン欠損食)を投与。4週目で大滴性の脂肪沈着、steatosis indexでの脂肪化(60%以上)、AST/ALTの上昇を確認し、上記モデルを確立した。2. Severe NAFL model ratにおける肝虚血再灌流障害に対するMHN-02の効果:上記Severe NAFL model ratに対し全肝虚血施行。MHN-02投与群では生存率の改善、ALT, AST値の減少、サイトカインの減少を認めた。またミトコンドリア代謝での非共役輸送に関係するUCP-2も有意に減少し、MHN-02による酸化ストレスの制御が示唆された。3. ラット肝虚血再灌流傷害に対するfollistatin投与の効果に関する研究:Follistatinは心、腎の虚血再灌流傷害に対する保護効果、また肝再生効果を有すると報告されている。ラット肝虚血再灌流傷害モデルにfollistatinを投与すると、生存率の改善、血液生化学検査にてAST、ALT、LDHの低下、さらにRT-PCRにてIL-6の有意な低下を認めた。4. 脂肪肝虚血再灌流傷害における小胞体ストレス応答の解明と制御に関する研究:小胞体ストレス応答は生体内での恒常性維持に働き、肝では細胞の保護作用、apoptosis作用を持つ。上記Severe NAFL model rat及び正常のマウスに対し全肝虚血施行。正常肝では虚血再灌流障害において、小胞体ストレス関連遺伝子CHOPの発現の増加を認めた。今後steatosis、I/Rの程度を変化させ検討し、小胞体ストレス主要3経路のknockoutマウスでの検討も行う。5. 脂肪肝肝切除におけるRegTの役割:当科においては生体肝移植症例にてRegTを経時的に測定し、末梢血中RegT比率の変化が肝移植後急性期の合併症など手術侵襲を反映する可能性があるとの知見を得た。今後、脂肪肝に肝切除を加えた際の肝障害・障害肝の肝再生におけるRegTの役割に関する検討を行う予定である。6. ラット脂肪肝肝移植モデルの作成:今後はラットで脂肪肝部分肝移植を行い、実際の臨床生体肝移植に近いモデルにて検討する。ラット肝移植の手技は既に習得し、拒絶反応ラット脂肪肝・肝移植モデルの検討も行う予定である。
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