研究課題/領域番号 |
20390359
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
島田 光生 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10216070)
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研究分担者 |
安友 康二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30333511)
田中 真二 東京医科歯科大学, 情報処理センター, 科学技術振興特別特認准教授 (30253420)
中村 隆範 香川大学, 医学部, 教授 (70183887)
武田 英二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00144973)
宇都宮 徹 徳島大学, 病院, 講師 (30304801)
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キーワード | 脂肪肝 / 肝移植 / 虚血再潅流傷害 / 大量肝切除術 |
研究概要 |
〔研究の目的〕脂肪肝グラフトにおける機能不全機序解明と生体肝移植での適用、脂肪肝における虚血再還流障害・肝再生の制御を通して、脂肪肝過小グラフトの包括的治療法を確立することを目的とする。 〔研究実施計画〕 平成20,21年度:脂肪肝モデルを作成し、肝切除・虚血再潅流傷害モデルでの検討を行う。 平成22年度:21年度までに得られた知見を応用して、さらに肝移植への適用を目指した検討を行う。 〔研究実績と展開〕 1.Severe NAFL model ratにおける肝虚血再灌流障害に対するMHN-02の効果:平成21年度までにSevere NAFL modelに対し全肝虚血施行。MHN-02投与群では肝機能・生存率の改善を認めた。ミトコンドリア代謝に関係するUCP-2も有意に減少しMHN-02による酸化ストレスの制御が示唆された。さらに実際の肝移植レシピエントにMHN-02を投与し術後2週目前後の肝機能障害の改善効果(AST/ALT低下)および抗炎症効果(CRP低下)を確認した。 2.ラット大量肝切除モデルにおける脾摘の効果:生体肝移植では過小グラフト対策として摘脾が行われている。そこで過小グラフトモデルとしてラット90%肝切除術を行い摘脾の効果を検討した。肝切除術後生存期間は脾摘群が有意に延長していた(P<0.05)。肝体重比、肝再生率ともに脾摘群が有意に高値であった。ALT/AST値、T-BiI値は摘脾群で術後48時間に有意な改善が認められた。細胞保護作用を示すHO-1発現は摘脾群において術後48,72時間で有意に高値であった。したがって摘脾は過小グラフトにおける肝障害軽減作用と共に肝再生を促す可能性が考えられた。 3.脂肪組織幹細胞を用いた肝再生促進効果:幹細胞を用いた再生医療は肝不全改善や肝再生促進が期待できる。そこで組織脂肪幹細胞(ADRC)を用いた再生医療の可能性を検討した。ヒトADRCを自動分離装置にて分離し、70%および90%肝切除後に経静脈的に投与した。肝切除術24時間後の再生肝にDiRで標識したADRCは特異的にhomingした。また、同時期の肝機能は有意に改善した。今後、脂肪肝モデルにて同様の評価を行い、その有用性を検討する予定である。 4.ラット脂肪肝肝移植モデルの作成:現在ラットで脂肪肝部分肝移植を行い実際の臨床生体肝移植に近いモデルを作成中である。今後はこれまでに得られた知見を本モデルにて検証し臨床応用へと展開する予定である。
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