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2010 年度 実績報告書

脊髄虚血障害におけるグリア細胞の役割の解明と治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20390362
研究機関北海道大学

研究代表者

若狭 哲  北海道大学, 北海道大学病院, 助教 (10374365)

キーワード脊髄虚血再潅流障害 / 活性化グリア細胞 / 遅延性脊髄障害 / 細胞膜リン脂質 / 質量顕微鏡
研究概要

大動脈瘤手術における脊髄障害は非常に重篤かつ未解決部分の多い合併症である。
我々はウサギ脊髄虚血再潅流モデルを用いた研究で、一過性脊髄虚血再潅流後の脊髄障害の程度と星状膠細胞活性化の程度が有意に相関することを明らかにし報告したが、そのメカニズムについては不明な点が多い。
虚血により組織において各種炎症前駆物質が活性化されると、ホスホリパーゼA2が細胞膜リン脂質を加水分解し、遊離脂肪酸やリゾリン脂質の濃度が上昇するとされる。ラット中大脳動脈閉塞モデルでは脳虚血領域で細胞膜構成物質のホスファチジルコリン(PC)の減少と、その加水分解産物であるリゾホスファチジルコリン(LPC)の上昇を認めたという報告が散見される。
本研究では、虚血再潅流後の脊髄におけるPCと、分解産物であるLPCおよびアラキドン酸(AA)の動態を質量顕微鏡法を用いて分析し、脊髄神経障害および星状膠細胞活性の程度と比較することで細胞障害の程度と時期、星状膠細胞の関与について検討した。
標的リン脂質分子の発現量の比較には、質量分析計によって得られる質量電荷比(m/z)を反映したマススペクトルにおけるシグナル強度を用いた。また星状膠細胞活性の指標としてGFAP(Glial fibrillary acidic protein)の発現量を分析した。
脊髄虚血再潅流後1日目の脊髄では、正常神経細胞数と各リン脂質の量との間に相関は認めなかったが、脊髄におけるGFAP発現はPLの量と負の(R^2=0.968)、またAAの量と正の(R^2=0.948)相関を認めた。虚血再潅流後3日目においては、LPCのピークは認められなかったがPC量と正常神経細胞数の間に正の(R^2=0.905)、GFAP発現との間に負の(R^2=0.969)相関が各々認められた。

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公開日: 2012-07-19  

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