研究課題
EGFR下流の情報伝達経路が、EGFR阻害剤を加えることによって、どの程度の時間スケールで変化するのかを知るため、EGFR阻害剤による処理後、異なる時間で細胞を回収し、ウェスタンプロットで、EGFRおよびその下流の蛋白のリン酸化状態を確認した。処理後5分、10分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間で細胞を回収した。EGFR蛋白のリン酸化チロシン部位Y1068、Y1173は、処理後5分でほぼ完全にリン酸化が抑制されていた。一方、Y1045は24時間経過した時点でもリン酸化が保持されていた。また、下流に位置するとされるErkのリン酸化は5分の時点でほぼ完全にリン酸化が抑制されていたが、一方で、Aktは24時間の時点まで、リン酸化が保たれていた。以上の結果より、EGFR蛋白内部においても、異なる位置にあるチロシンは、リン酸化の調節も異なっている可能性があること、下流の蛋白のリン酸化の調節が一律になされているわけではないことを示唆していると考えられた。EGFR遺伝子に変異を有する細胞を用いて、細胞内に存在するリン酸キナーゼの同定を試みた。細胞を1×10^8個まで増殖させたものを3群用意し、それぞれ、無処理、EGFR阻害剤処理、EGFR阻害剤処理+EGF添加、の各条件として細胞を回収した。蛋白を抽出し、トリプシン処理によりペプチドに分解した。3群それぞれから得られたペプチドを異なる標識試薬で処理した後、抗チロシン抗体を用いて免疫沈降処理を行い、チロシンを含むペプチドを回収した。これらをマススペクトロメトリーを用いて解析した。現在、ペプチドの信号がノイズと分離可能で十分信頼できる質であるかどうかを解析中である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)
IDrugs 12
ページ: 34-38
Biochem Biophys Res Commun 377
ページ: 685-688
J Clin Oncol 26
ページ: 4268-4275
ページ: 4319-4325
J Thorac Oncol 3
ページ: 527-529
Pathobiologyl 75
ページ: 2-8