研究課題
EGFR遺伝子に変異を有する細胞を用いて、細胞内に存在するリン酸キナーゼの同定を試みた。無処理、EGFR阻害剤処理、EGFR阻害剤処理+EGF添加、の各条件として細胞を回収し、3群それぞれから得られたペプチドを異なる標識試薬で処理した後、抗チロシン抗体を用いて免疫沈降処理を行い、チロシンを含むペプチドを回収した。これらを試料にして、マススペクトロメトリーを用いて解析した。多数のリン酸化チロシンを同定した。これらの配列をデータベースに照らし、該当する配列を含むタンパク質を同定した。この中には、EGFRの複数のリン酸化部位も含まれていた。得られた蛋白のリストを確認し、EGFR阻害薬によるリン酸化の阻害の度合いが、蛋白により異なることを確認した。阻害の度合いが比較的大きなものが、その機能を検討する候補となり得ると考え、in vivoの解析の対象とした。それぞれの蛋白の肺癌細胞株における発現状況を、ウェスタンブロットで確認し、候補の優先順位を決定した。今後、順次、siRNAを行う予定である。一方、in vivoの実験に向けて、EGFRに変異を有する細胞を培養していたが、用いた細胞は増殖速度が一般の細胞に比較すると緩徐であることが判明した。In vivoの実験に用いるには不適切である可能性があるため、EGFR変異を有する別な細胞株を入手し、代替として使用可能かどうか検討することとした。マススペクトロメトリーで得られたリン酸化チロシンを有する蛋白のリストを可視的に理解可能とするため、ソフトウェアを用いて、それぞれの関係がわかるように、細胞内シグナル伝達の分子マップを作成中である。
すべて 2009
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