研究課題/領域番号 |
20390370
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
濱野 公一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60263787)
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研究分担者 |
原田 規章 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70116747)
美甘 章仁 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30372709)
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キーワード | 骨髄細胞 / 血管再生 / 治療効果 / 細胞移植 / 再生医療 |
研究概要 |
難治性虚血性疾患に対する自己骨髄細胞移植による血管再生療法は世界中の多くの施設で臨床応用が施行され、虚血臓器の血流増加と機能改善が認められている。しかし、一部の患者では本治療による明らかな改善が得られない。こうした反応性(治療効果)の違いは、患者背景(年齢、糖尿病、高脂血症の有無等)、虚血の程度やその期間など様々な因子による骨髄細胞の質や虚血組織環境の違いが原因と考えられる。我々のこれまでの研究では、高齢、腎不全、貧血などがその一因であることを示したが、より正確な治療効果の判定には多くの因子を組み合わせる必要があると考えられる。本研究では、自己骨髄細胞移植による血管再生療法の治療効果を総合的に予測するシステムの構築と確立を目指す。本年度は、自己骨髄細胞の血管再生効果を予測するシステムの構築とその予測システムの精度の評価を行った。胸骨正中切開による手術を受けた成人患者から本研究の同意を得て、手術前に患者の病歴および血液生化学検査により各患者の背景因子を調べた。また、手術の際に切開した胸骨より採取した約10mlの骨髄液から単核球細胞を単離後、各患者の骨髄細胞の血管再生治療の有効性をSCIDマウスの下肢虚血モデルへの細胞移植による血流量の増加率により評価した。患者背景因子、および臨床検査データから自己骨髄細胞の血管再生効果(SCIDマウス虚血下肢における血流量)に有意な影響を及ぼす因子を多変量解析により抽出した結果、加齢、腎不全、貧血、血清中のトリグリセリド・CRP・IL-6・crosslinked N-telopeptide of type I collagen(NTX)が抽出された。さらに、抽出した因子はP値に応じてスコアを振り分け、各患者の総合スコアを計算した。統計分析により、各患者の総合スコアが骨髄細胞の血管再生効果を反映(予測)していることが分かった。
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