研究課題/領域番号 |
20390371
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
富田 幸裕 九州大学, 医学研究院, 研究員 (90180174)
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研究分担者 |
吉開 泰信 九州大学, 生医研, 教授 (90158402)
山田 久方 九州大学, 生医研, 准教授 (20363369)
中島 淳博 九州大学, 大学病院, 助教 (10260704)
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キーワード | キメリズム / サイクロフォスファミド / 免疫寛容誘導 |
研究概要 |
本研究の内容 サイクロフォスファミドを用いた移植免疫寛容誘導は、混合キメリズム現象を誘導することで成立する実験系であり、本寛容誘導法におけるキメリズムの重要性は以前より報告されており(Iwai Transpl Int 2005)、CP誘導性免疫寛容誘導系においてキメリズムを誘導するにはNKT細胞の存在が必須であることが明らかにされている(J Immunol2006)。CP誘導性免疫寛容誘導系においてiNKT細胞の調節性機能は必須であるが、キメリズムの誘導にかかわるeffector分子に関しては不明な点が多い。 本研究では、Cyclophosphamide誘導性免疫寛容系において、(1)抗T細胞抗体を投与した場合のキメリズム現象の観察、(2)Toll Like Rreptor (TLR)-4のagonistであるLipopolysaccharide(LPS)の投与がキメリズム誘導を阻害する現象を解析した。 本研究の結果と意義 (1) 抗T細胞抗体を投与した場合、高いレベルのキメリズムが得られ、その現象はNKT細胞の非存在下でも観察されたうえ、移植免疫寛容も誘導された。(2)LPSの寛容誘導時の投与により、約50%の皮膚移植片が慢性拒絶されることが観察された。 今回の研究によりCyclophosphamide誘導性免疫寛容系のキメリズム誘導機序にNKT細胞の調節性機能が関与しない経路が存在すること、キメリズムの導入にLPS受容体であるTLR-4が関与していることが強く示唆された。現在TLRが調節性機能、特に移植免疫寛容誘導においてキメリズム誘導に関与するという報告はなく、画期的なことと言える。また、本免疫寛容系における感染時のモデルが確立されることで、感染時における拒絶反応のメカニズム解明にもつながることが予想される。
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