研究課題/領域番号 |
20390374
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
田中 文啓 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10283673)
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研究分担者 |
奥村 好邦 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30388813)
多久和 輝尚 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00412049)
近藤 展行 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50402889)
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キーワード | 呼吸器外科 / 肺癌 / 循環腫瘍細 / リンパ節転移 / 胸水 |
研究概要 |
・平成20-21年度に原発性肺癌の診断または疑いで当科を受診した連続した152例を対象に、末梢血液7.5mLを採取し、血液中存在する循環腫瘍細胞(CTC)および循環内皮細胞(CEC)を"CellSearch"システムにより分離しその個数を定量し、その臨床的意義を検討した。 ・その結果原発性肺癌症例では31%の症例に循環腫瘍細胞が検出され(個数は0-62個)、一方非悪性疾患症例では12%に循環腫瘍細胞(個数は0-2個)が検出され、原発性肺癌症例では循環腫瘍細胞が有意に多かった(P=0.049)。しかしながら循環腫瘍細胞による肺癌と非悪性疾患の鑑別能力をROC曲線により検討すると、そのAUCは0.598(95%信頼区間:0.488-0.708:P=0.122)であり循環腫瘍細胞は肺癌の診断に関して十分な診断能を有するとは判定し得なかった。但し、肺癌症例125例(うち遠隔転移ありと診断された31例を対象として循環腫瘍細胞による遠隔転移診断能を検討すると、遠隔転移陽性症例は非転移症例と比較して循環腫瘍細胞が有意に多く(P<0.001)、循環腫瘍細胞による遠隔転移有無の診断に関するROC-AUCは0.783(95%信頼区間0.679-0.886;P<0.001)と有意な鑑別能力を有することが判明した。以上の結果は、循環腫瘍細胞の肺癌遠隔転移診断の臨床的有用性を示すものであり、米国臨床腫瘍医学会(ASCO)等の各種国際学会で発表の後にClin Cancer Res誌上でで発表した。 ・また、循環内皮細胞については、末梢血液中の循環内皮細胞数が腫瘍の血管密度と正の相関を示すことが判明し、また腫瘍の進行度とも相関することも明らかとなった。今後、その臨床的意義、特に予後因子としての意義を更に詳細に検討する予定である。
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