研究課題/領域番号 |
20390375
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
安元 公正 産業医科大学, 医学部, 名誉教授 (30150452)
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研究分担者 |
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30299614)
竹之山 光広 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (10309966)
馬場 哲郎 産業医科大学, 医学部, 助教 (10506348)
重松 義紀 産業医科大学, 医学部, 助教 (10546469)
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キーワード | 肺癌 / 腫瘍抗原 / 免疫逃避 / HLA / TCR |
研究概要 |
癌の免疫逃避の解明は、癌免疫療法の構築に重要な課題であり、H21年度の研究計画1)-3)に対して以下の結果を得た。 1)HLA発現異常を有する肺癌細胞を認識するCTLの解析 HLA-class Iを欠失した肺癌細胞株C831Lに、正常なβ2ミクログロブリン遺伝子移入によりHLA発現を回復させたC831L-β2mを用いて、HLA-A26拘束性CTLが認識する、leucine rich repeat containing family 8Aを腫瘍抗原遺伝子として同定した。 2)腫瘍の増殖や進展に関わる新たな腫瘍抗原の同定 肺多形癌の原発巣(G603L)と転移巣(G603L-AD)から樹立した腫瘍細胞株に対し、反応性の違うCTL cloneの認識機構の解析を進めるために、細胞数に限りのあるCTL cloneからTCR遺伝子(Va34,Vb5.1)をクローニングし、PMXレトロウイルスベクターに組み込んだ。G603LよりcDNA libraryを作成し、cDNA発現クローニング法によるスクリーニングを準備している。 肺腺癌株H1224L特異的CTL cloneが認識する新規の過剰発現腫瘍抗原としてRibosomal protein L19(RPL19)を同定した。RPL19の機能解析のためsiRNAを作用させた結果、増殖抑制効果を認め、これはcell cycleの抑制によるものであった。 3)同定した抗原の治療応用に向けた検討 免疫抑制状態にある全ての担癌患者から自己癌特異的CTLを誘導・大量培養することは困難であり、これを克服するために新たな抗腫瘍エフェクター細胞の作成を行った。 腫瘍抗原特異的CTL cloneからT細胞受容体遺伝子を単離し、増殖させたγδT細胞に遺伝子移入することにより、in vitroおよびin vivoでの抗原特異的な抗腫瘍効果が得られた。
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