【目的】ラット小脳室頂核(FN)の電気刺激(1h)を中大脳動脈(MCA)閉塞後に行うとcontrolに比べて脳梗塞が約50%縮小する。そのメカニズムを生体内イメージング法により明らかにし、さらにその結果を臨床応用するためのtranslational researchを行う。今年度は、FN電気刺激によるUCP-4の発現を証明し、UCP-4の発現が虚血耐性獲得の原因であることを検証するために、光学的イメージング設備の準備と生体内イメージング法の確立、ウエスタンブロットによるUCP-4の蛋白レベルでの発現確認、SiRNAによるUCP-4発現の抑制実験の準備を行う。 【成果】 1. 光学的イメージング設備の準備と生体内イメージング法の確立:工業用顕微鏡のAxiotech Vario FL(Zeiss)を購入し、生体内イメージングに適用できるよう改良を加えた(光量子医学研究センターに設置)。UCP-4は活性酸素の発生と強く関連するので、脳内に発生する活性酸素の蛍光イメージングの手法を確立した。また、対象とするラット脳梗塞モデルについては、SD、Wistar、SHRの3種のラットでMCA閉塞を行い、標準偏差が小さく一定の梗塞巣ができるSHRを採用することにした。 2. ウエスタンブロットによるUCP-4の蛋白レベルでの発現確認:UCP4(N-16):sc-17582を購入し、摘出脳および培養細胞でウエスタンブロットを行ったが、非特異的なバンドが得られ検出法としては不十分であった。適切な抗体の入手がカギであり、入手可能のものを選定し検討中である。 3. SiRNAによるUCP-4発現の抑制実験の準備:上記に記載したように、適切な抗体の選定ができていないので、この点に関しては今年度内に進めることができなかった。
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