【研究目的】ラット小脳室頂核(FN)の電気刺激(1h)を中大脳動脈(MCA)閉塞後に行うとcontrolに比べて脳梗塞が縮小する。そのメカニズムを生体内イメージング法により明らかにし、さらにその結果を臨床応用するためのtranslational researchを行う。今年度は、FN電気刺激でUCP-4が刺激に依存して発現しているか否かを明らかにし、UCP-4の発現が虚血耐性獲得の原因であることを検証するために、ウエスタンブロットによるUCP-4の蛋白レベルでの発現確認、SiRNAによるUCP-4発現の抑制実験を行うことを目標とした。 【今年度の成果】 1)MCA閉塞を行いFN電気刺激の効果を確認:SD、Wistar、SHRの3種のラットいずれでも虚血耐性を獲得するが、標準偏差が小さく一定の梗塞巣ができるSHRでの評価において、1h-FN電気刺激後72時間で中大脳動脈閉塞を行い、24時間後にニッスル染色によって計測した梗塞巣は、非電気刺激群に比べて約30%縮小し、虚血耐性を獲得することを我々の実験系で確認した。 2)1h-FN電気刺激後72時間でUCP-4発現を蛋白レベルとmRNAレベルで確認:UCP-4のmRNAはFN電気刺激により上昇、虚血(中大脳動脈閉塞)側の大脳半球でも上昇していた。UCP-4は蛋白レベルでも上昇していたが、一部再現性の問題で再検の必要性がありと思われた。 3)SiRNAによるUCP-4発現の抑制実験を開始:SiRNA作成に着手した。また、ラットの左側脳室内に留置カテーテルを設置し、plasmid DNA(DsRed-Mito)を注入し48時間後に左右の大脳に蛍光蛋白がdiffuseに発現させうることを確認した。この手技によりSiRNAを投与し平成22年度に行う予定。
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