研究課題
平成20・21年度に得られた当該研究に関する知見は:(1)小脳室頂核(FN)電気刺激(1h)72h後にMCA永久閉塞を行い、閉塞後24h後にNissl染色で計測した脳梗塞は、sham刺激群:190.57±5.12mm^2 vs FN刺激群:150.30±11.13mm^2と有意(p=0.000634)にFN群で梗塞巣は小さい(神経保護効果が見られる);(2)UCP-4は、FN電気刺激後72h(神経保護効果が最大の時期)に脳内発現が蛋白レベルとmRNAレベルで増加している;である。平成22年度は上記の知見を基に、仮説1「FN電気刺激によりミトコンドリアKATP-channelが開き活性酸素が発生し、その結果UCP-4が発現、それにより虚血耐性を獲得する」と、仮説2「より臨床応用可能な方法であり同様に一種のdiving responseを引き起こす三叉神経第一枝の電気刺激は、同様のメカニズムをもたらし神経保護的に働く」を検証することを目的とした。【結果】(1) FN電気刺激後72hで作製したラット脳スライスでは、chemical hypoxiaに対するミトコンドリアの膜電位(蛍光色素で評価)は有意に変化しにくい→FN電気刺激によりミトコンドリアの機能が強化(2) KATP-channel opening blockerによりFN刺激による神経保護効果が消去される(3) UCP-4に対するSiRNAを脳室内投与することにより、FN電気刺激によるUCP-4の発現が抑制(knock down)され、虚血耐性が消去(詳細は解析・検討中)される。以上より、仮設1が正しいことが検証できた。なお、仮設2の検証に関しては、発現ベクターのデザインの有効性が決定できず、個体レベルでのUCP-4発現の観察のためのtransgenic rat作製がでなかった。そのため今年度は実施できなかったので、今後検討すべき研究課題とした。
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Neuroscience
巻: 168 ページ: 219-225
Neurosurgery
巻: 67 ページ: 118-128