研究課題/領域番号 |
20390387
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
竹島 秀雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (70244134)
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研究分担者 |
上原 久生 宮崎大学, 医学部, 准教授 (80203470)
横上 聖貴 宮崎大学, 医学部, 講師 (40284856)
山下 真治 宮崎大学, 医学部, 助教 (40468046)
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キーワード | 癌幹細胞 / 乏突起膠腫 / 分子マーカー / グリオーマ / 分化誘導 |
研究概要 |
悪性グリオーマは、予後の悪い悪性腫瘍の代表であるが、例外的に放射線や化学療法に感受性の高い乏突起膠腫の存在が注目されている。本研究の当初の目的は、乏突起膠腫に分化傾向を有する悪性グリオーマから、近年注目されている癌幹細胞の培養システムを確立して、これを乏突起膠腫系の細胞に分化誘導させることで、新たな分子マーカーを発見することであった。その目的のために、我々はグリオーマ培養細胞をはじめとして手術時に摘出された悪性グリオーマ組織から5系統の癌幹細胞株をスフェロイド法により確立した。その後、bFGFやPDGFなどの様々なサイトカインにより分化誘導を試みたが、乏突起膠腫への分化傾向を示す細胞はminorityであり、誘導システムの確立は困難と思われた。 そこで、作成した幹細胞の分化誘導系を用いてN-myc downstream-related gene (NDRG)およびEVI 1に注目して、解析を行った。1)NDRGは、幹細胞では発現が見られないが、血清などの分化誘導により発現されるようになる。また、34例の臨床サンプルを用いた解析では発現と患者の予後に有意な相関が見られた。2)EVI 1は造血幹細胞に特異的に発現することが報告された転写因子であるが、ノックアウトマウスで中枢神経系の形成不全が報告されていた。今回、EVI 1の機能解析を行い、EVI 1をknock downするとグリオーマ幹細胞の維持に関与するNotchシグナル伝達系の発現が抑制されることが確認され、stemnessの維持に何らかの役割を果たしていることが示唆された。これら新たな知見は、癌幹細胞に対する新たな発見であり、今後新たな治療法の確立に向けて重要な所見と思われる。今後、更なる解析を行っていく予定である。
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