我々は、骨髄間葉系幹細胞をドナー細胞とした移植研究に注目し、脳梗塞に対する新たな細胞治療について研究しており、昨年度までに、下記の結果を得ていた。すなわち、亜急性期~慢性期において血液脳関門(BBB)の開閉状態を経時的に解析すると同時に、静脈内に移植された細胞が血管内から脳実質内へ移行するホーミング作用を検討したところ、BBBの損傷程度とホーミング効果との相関関係は少なく、急性期から慢性期に渡って良好に脳梗塞巣に移植細胞が集積することが判明した。これらのことから、脳梗塞亜急性期~慢性期においても、静脈内に細胞を投与することで、移植細胞を高率に病巣へ送り込ませることができることが判明した。また、fMRIによる脳機能の経時的評価をリアルタイムで行えるシステムの構築を試みた。fMRIによる脳機能解析の結果、幹細胞治療メカニズムに、脳梗塞病巣への直接的な治療効果の他に、対側の健常脳の可塑性を向上させることが判明した。 これらの結果をふまえて本年度は、(1)"遺伝子組換え骨髄幹細胞"を移植することで、治療効果が向上すること、(2)対側の健常脳の可塑性が治療効果へ多大に貢献すること、をつきとめた。 以上のように、補助金は補助条件に従って、非常に有効に使用されている。
|