研究課題/領域番号 |
20390389
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40244496)
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研究分担者 |
伊藤 典彦 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80264654)
水木 信久 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90336579)
斎藤 知行 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30170517)
出澤 真理 東北大学, 医学研究科, 教授 (50272323)
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キーワード | VHL / 機能性ペプチド / 多能性幹細胞 / 神経再生医療 / 神経幹細胞 / 皮膚幹細胞 / パーキンソン病 / 脊髄損傷 |
研究概要 |
[目的]本研究においては、幹細胞の神経分化を担うドメインを神経分化誘導作用を有するBCボックス蛋白の中から同定し、そのドメインを細胞内へ直接導入することで幹細胞を神経分化させる方法を考え、この方法で採取可能な自己の幹細胞を実際に神経分化誘導したのちに難治性神経疾患患者の脳・脊髄へ移植して神経を再生させる神経再生医療を実現するための研究を行う目的とした。 [方法・結果]すでに蛋白全体として神経幹細胞からの神経分化誘導機能が明らかにされているvon Hippel-Lindau腫瘍抑制蛋白(VHL)の内で、神経分化を誘導するドメインの候補としてVHLのリガンドであるelonginBCの結合部位のアミノ酸配列の15個のアミノ酸配列からなるペプチドを合成し、神経幹細胞へ導入すると、ニューロンへの分化が確認された。このペプチドに蛋白導入ドメイン(TIATなど)を結合するとペプチドが短時間でほぼすべての細胞内に容易に入ることが観察された。細胞内に入ったペプチドはその後機能し始めて、約6時間後には神経突起の伸長、神経特異的蛋白の発現を認めた。こうした神経分化誘導ペプチドの作用は、神経幹細胞のみならず、他の多分化能を有する幹細胞(ヒト・ラット皮膚幹細胞、ラット骨髄幹細胞)に対しても認められ、更に、幹細胞から神経分化誘導された細胞を神経疾患モデル(パーキンソン病、脊髄損傷)動物に移植して神経を再生させることにより症状の改善を認めており、移植した細胞が脳・脊髄内で神経細胞へ分化していることを確認した。 [結論]これらの知見から、このペプチドを用いた神経再生医療が将来的に臨床応用されることが期待された。
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