研究課題/領域番号 |
20390391
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
広瀬 雄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (60218849)
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研究分担者 |
佐々木 光 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70245512)
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キーワード | グリオーマ / temozolomide / flavopiridol / G2チェックポイント / cyclin-dependent kinase / Aktキナーゼ / DNA二重鎖断裂 / 標的治療 |
研究概要 |
本研究者はこれまでに、新規化学療法剤temozolomide (TMZ)は悪性グリオーマ細胞をG2期で細胞周期停止させさせることを報告し、DNAチェックポイントが細胞生存と密接に関わる機構があることが示唆されていた。 培養ヒトグリオーマ細胞U87MGを用いた実験系において、G2チェックポイント機構の下流の主要G2チェックポイント蛋白であるcdc2キナーゼ(別名cdk1)をcyclin-dependent kinase (cdk)阻害剤flavpiridol (FP)で阻害したときのTMZ増強作用を検討し、FPはU87MG細胞株においてTMZの効果を明らかに増強し、またTMZ耐性株群のTMZ再感受性化も示しすことを解明した。FPによるTMZ増強作用の機序を解明するためにウエスタンブロットにより細胞死関連蛋白の変動を検討したところ、FPがG2-M期移行の重要タンパクであるPolo-like kinase 1 (Plk1)の発現を低下させることが判明し、またFACSによる細胞周期解析ではFPがTMZ処理を受けたグリオーマ細胞のG2期からM期への移行を強固に抑制していることがわかった。Plk1と同様にG2-M期移行に関与するタンパクであるPin1やAurora kinasesもやはりFP処理によって発現が抑制されていた。一方、FPはTMZ処理細胞においてDNA二重鎖断裂のマーカーであるγ-H2AXタンパクの発現を増加させた。 分子シャペロンの一種である90kD heat shock proteinの阻害剤17-AAGが、Aktキナーゼ抑制を介してDNA架橋形成型化学療法剤に対するグリオーマ細胞の感受性を増強することを解明した。この効果はTMZによる抗グリオーマ作用に関しては認められず、化学療法増感法の開発に関しては個々の化学療法剤の特性に応じて行われる必要があることが示された。
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