研究課題
中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は中枢神経系に原発する節外性非ホジキン型リンパ腫で、多くはB細胞リンパ腫である。High dose Methotrexate(HD-MTX)の化学療法はPCNSLに広く用いられるレジメンである。しかしながら、本治療法の問題点として、1)5年生存率は約30%と、全身性非ホジキン病と比べ、治療成績は不良である。2)副作用として晩発性の神経毒性がある。3)多くは再発し治療抵抗性となり、新たな治療スケジュールの開発が待たれている今回の研究では、HD-MTX療法を施行したPCNSL腫瘍組織のゲノム解析を行うことにより、1)HD-MTXに感受性を示し、予後と相関する遺伝子群を同定。2)予後不良な症例群を選択するためのバイオマーカーを検討する。3)治療の標的となりうる遺伝子を選択し、分子標的薬剤、抗体、siRNAなどの創薬に向けた研究を展開する。などを目的とした。PCNSL50症例の症例の年齢性別、KPSスコア、画像所見、髄液所見、治療法、治療効果、副作用、転帰について詳細な検討を行い、それらの凍結腫瘍組織からのDNA,RNAを用いて、Affymetrixb GeneChip U133を用いた遺伝子発現解析、GeneChip miRNA2.0 Arrayを用いたmicroRNA解析、GeneChip Human Mapping 250K Nsparrayを用いたSNPアレイ解析を行った。遺伝子発現解析から予後と相関する21個の遺伝子セットが選択された。それらの21個の遺伝子の発現値を用いた予後予測式を考案した。さらに実用的な観点からパラフィンブロックを利用し、それらの遺伝子の中である遺伝子に対する抗体を用いた免疫組織染色が陽性の場合に化学療法に対する感受性が低下することがわかった。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 図書 (2件) 産業財産権 (1件)
Int J Oncol
巻: 40(3) ページ: 9721-30
J Clin Exp Hematop
巻: 51(2) ページ: 93-9
Cancer Biol Ther
巻: 10(12) ページ: 1266-79
Support Care Cancer
巻: 19(4) ページ: 467-73
doi: 10.1007/s00520-010-0838-5