中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は中枢神経系に原発する節外性非ポジキン型リンパ腫で、多くはB細胞リンパ腫である。High dose Methotrexate (HD-MTX)の化学療法はPCNSLに広く用いられるレジメンである。しかしながら、本治療法の問題点として、(1)生存率の向上が見られたが、5年生存率は約30%と、全身性非ポジキン病と比べ、治療成績は不良である。(2)副作用として晩発性の神経毒性がある。(3)MTXに感受性を示さない腫瘍が20%以上はある。(4)多くは再発し治療抵抗性となり、新たな治療スケジュールの開発が待たれている。今回の研究では、HD-MTX療法を施行したPCNSL腫瘍組織のゲノム解析を行うことにより(1)HD-MTXに感受性を示し、予後良好な腫瘍に高発現する遺伝子群を同定。(2)治療の標的となりうる遺伝子を選択し、分子標的薬剤、抗体、siRNAなどの創薬に向けた研究を展開する。(3)PCNSLの幹細胞を樹立し、MTXに対する耐性株を樹立し、薬剤耐性の分子機構について検討する。耐性克服による治療法の確立に向けた研究を展開する。などを目的とする。
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