我々はNMUが中枢神経系を介して骨形成を抑制すること、また、NMUがレプチンの骨形成抑制作用の仲介因子であることを見出した。しかしながら、その骨量調節作用の詳細な分子メカニズムは不明である。NMU欠損マウスにおいても分子時計の異常が認められ、また、NMUのhomologueとして同定されたNMSは視床下部において強い発現を示し、かつNMSを脳室内に投与することで体内時計のリズムが偏移することが知られている。これらの知見からNMU/NMSは体内時計の調節を介して骨形成を制御する可能性が示唆される。そこで、我々はNMU、NMS欠損マウスを用いて体内時計と骨代謝調節に関して検討をすすめた。予備的検討において、NMS欠損マウスは骨量の異常をきたすことを見出した。そこで、マイクロCTを用いた三次元構築による骨量定量法や骨形態計測法を行ったところ、NMS欠損マウスは骨量の低下を示すことが明らかとなった。現在、 NMS欠損の骨代謝の異常が骨形成に起因するか、骨吸収に起因するかあるいは両者の共存によるものかを骨形態計測法にて検討中である。またNMS欠損マウスから骨芽細胞、破骨細胞を採取し、それらの分化増殖に関して、RNAを抽出し骨芽細胞、破骨細胞のマーカー遺伝子の発現を解析中である。さらに、NMUとNMSの関連を検討すべく、現在NMU/NMS二重欠損マウスを作成中である。
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