初年度で作製した軟骨および髄核特異的なCILP発現を示す3種のconstructによる遺伝子改変マウスの中で、453mCILPInt系統(髄核発現-、短骨発現-)、および742mCILP系統(髄核発現+、短骨発現-)を選択維持し、これらの系統が正常に成長することを確認。さらにこれらにおけるCILP mRNA発現を解析し、453mCILPIntでは軟骨に加えて椎間板髄核特異的にCILP過剰発現をしていることが明らかになった。それぞれのマウス系統の経時的軟X線撮影およびMRI撮影を10ヶ月齢まで行った結果、加齢に伴い453mCILPIntでは椎間板髄核シグナルが有意に低下し、椎間板変性へ向かうリスクを早期から有していることをが示された。また加齢に伴う組織学的変化の解析により、453mCILPIntでは椎間板変性が出現進行し、髄核の縮小や消失さらに線維輪構造の破綻を呈し、組織学的スコアでも変性程度は742mCILPより有意に増加していた。 この椎間板変性誘導メカニズムがTGFβシグナルを介するかを知るために、髄核におけるリン酸化smadの発現変化を解析したところ、453mCILPIntではリン酸化が有意に低下しており、CILPがTGFシグナルを介して髄核のマトリックス産生を抑制している可能性が示された。 さらに、疾患感受性遺伝子のCILPに加えて、環境因子である力学的要因の付加影響を調べるために、マウス頚椎に対して頚椎棘突起および項靭帯の切除を行い、頚椎椎間板変性の促進実験を開始した。6ヶ月齢マウスまでの解析では、遺伝的要因であるCILPに加えて、環境要因付加により椎間板変性がさらに促進することが、MRIレベルの解析で明らかとなっている。
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