研究課題/領域番号 |
20390395
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
木村 友厚 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80167379)
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研究分担者 |
川口 善治 富山大学, 大学病院, 准教授 (00262527)
関 庄二 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00432112)
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キーワード | 軟骨 / 椎間板 / 変性 / 疾患感受性遺伝子 / 環境因子 |
研究概要 |
軟骨および髄核特異的なCILP過剰発現を示すconditional Tgマウスで、453mCILPInt系統(髄核発現-、短骨原基発現-)と742mCILP系統(髄核発現+、短骨原基発現-)を生後12ヶ月齢まで形態学的に詳細な比較検討解析を行った。髄核でのCILP過剰発現により、椎間板のMRI解析では4ヶ月齢の早期からMRI上の輝度低下が起こり、引き続いて12ヶ月齢までに組織学的に明確な椎間板変性(髄核縮小、線維輪の破綻、髄核ヘルニア形成)の促進が生じていた。CILPの過剰発現による病態メカニズム検討では、髄核においてin vivoでTGFβの下流でSmadシグナルの抑制が確認され、その結果軟骨特異的マトリックス発現が抑制される一方、MMP-13をはじめとする分解系の亢進も生じることが明らかとなった。さらに髄核細胞ではアポトーシス促進も生じることが確認された。以上から、ヒトの軟骨変性感受性遺伝子として相関解析から明らかにされたCILP遺伝子が、実際にin vivoで軟骨(椎間板)のマトリックス代謝を負に制御し、これによって椎間板変性を引き起こすことを初めて明らかにした。さらに、椎間板変性の発症には力学的要因などの環境要因も強く関与していると言われるため、本マウスに軽微な力学的負荷を頚椎に追加(頚部項靭帯の切除)し、8ヶ月齢までの形態解析を行った結果、頚椎椎間板変性がさらに促進されることも明らかにした。これらの結果は、多因子疾患である椎間板変性が、規定された疾患感受性遺伝子CILPと力学的因子の複合により、実際に誘導されることを示したものである。
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