研究概要 |
蛍光をつかった生体内の癌イメージングを以下のテーマにわけ,研究した。 (1)蛍光抗体を使った生体内の腫瘍のイメージング.骨代謝に関連するアルカリフォスファターゼの抗体を用いることで、骨肉腫培養細胞が標識できることは確認された。in vivoの実験の橋渡しとして、in vitroで線維肉腫HT-1080株と共培養して骨肉腫細胞の特異度をみたが、蛍光抗体がHT-1080にもやや停溜する蛍光があり、偽陽性の問題があると考えられた。今後、コントラストの改善が必要と考えられた。(2)骨軟部腫瘍のマーカーの検索。当院で手術を行った骨肉腫患者の免疫染色の結果でKi-67抗体は悪性度が強い症例で陽性度が高かったため、これをマーカーとして検討することが示唆された。また、接着因子の解析を行っているが、プラコグロビンmRNAの発現がdownregulateされている傾向があり、カドヘリン、カテニンの発現を含め、今後検討していく。(3)マウス肺転移モデルでのリアルタイムイメージング。マウス挿管モデルにより、肺転移の観察を経時的に観察可能となった。尾静脈から蛍光標識した腫瘍細胞を注射し、開胸して直視下に観察すると、トラップされた細胞が観察可能である。これを繰り返し日をかえて観察することで、同一個体で経時的な腫瘍の転移が観察された。ヒト線維肉腫細胞とマウス由来乳癌細胞を尾静脈注射して0、1、7病日に観察したところ、ヒト線維肉腫細胞はマウス乳癌細胞に比ベトラップされる数は多いが、7病日ではほとんど消えていた。これは細胞がトラップされる際は、接着因子などの関与、その後の生着は免疫などの関与が示唆された。(4)液体窒素処理腫瘍の免疫増強反応。蛍光トランスジェニックマウスの牌臓から採取したリンパ球をイメージングに使い、癌の免疫応答を観察した。移植した腫瘍を摘出して液体窒素凍結処理して再投与した群がリンパ球の応答が強い傾向が観察された。
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