研究課題
骨形成蛋白OP-1の担体として連通多孔体ハイドロキシアパタイトセラミックスIP-CHAの脊椎椎間固定術での有効性を検討した。18月齢の雄ビーグル犬に対し、L4-5の後側方固定術を自家腸骨(A群)、自家腸骨+IP-CHA(B群)、OP-1+IP-CHA(C群)を用いて行った。手術後8週間のX線、CTによりC群は他群と比べて旺盛な骨形成を認めた。骨塩定量、力学的強度試験においてもC群は良好な結果を示した。組織学的評価により、C群ではIP-CHA顆粒の周囲や気孔内に新生骨が観察され、IP-CHAと宿主骨の骨性癒合を全例で認めた。本研究で用いたOP-1の量は、コラーゲンを担体として用いた過去の文献で報告されている量の約3分の1であり、IP-CHAを担体として用いることでOP-1の骨形成作用を増強し得ることが示された。IP-CHAを担体とし、OP-1の軟骨再生における効果をウサギ、ブタ膝関節骨軟骨全層欠損モデルで評価した。24週齢のNZWウサギの両側膝蓋溝に直径6mm×深さ6mmの骨軟骨全層欠損を作成した。A.欠損のみ、B.円柱型IP-CHA、C.IP-CHAにOP-1(250μg)を添加したものを移植し、8週後に評価した。10ヶ月齢の雄ミニブタの両側大腿骨内顆関節面にφ7.5mm×深さ15mmの骨軟骨全層欠損を作成した。A欠損のみ、B.円柱型IP-CHA、C.IP-CHAにOP-1(250μg)を添加したものを移植し、12週後に評価した。評価はX線および組織学評価により行った。いずれもOP-1添加群で他群と比較し明らかに良好な修復を認めた。組織学的gradingにおいても有意に良好な結果であった。OP-1とIP-CHAのハイブリッドは、軟骨下骨の再生および、関節軟骨の再生に有効であることが証明された。
すべて 2010
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