研究概要 |
骨肉腫において若年者と高齢者発症の骨肉腫、あるいは四肢と骨盤発生、つまり発症年齢や発症部位の違いによる腫瘍特性の大きな違いをDNA構造異常について検討することで明らかにした。DNA構造異常とエピジェネティクスを検討し、RNA・タンパク発現レベルとの相関を解析することで、骨肉腫の発生部位・病理組織学的な違いおよび臨床経過に影響を及ぼす因子について明らかにすることを目的とした。本年度は、網羅的にゲノムの増幅と欠失を遺伝子レベルで検出・同定した。各アレイで検出されたAberration領域の平均個数は、若年・四肢群165.5、若年・体幹群44、高齢・四肢群63.75、高齢・体幹群64.75であった。全群にわたってgainを認めたのは6p12-23、4q13など、lossの領域は4q28、13q31などであった。これらの結果は今までに報告された骨肉腫の染色体異常と同様であった。部位別では、四肢群でgain:21q,8q,loss:12q14,8pを認め、体幹群ではgain:12q13,2op12,13q13、loss:4q28などを認めた。年齢別では、高齢群でloss:chr10,若年群でloss:chr7を認めた。アレイCGH法はDNAレベルにおける遺伝子変異の検出には最も適した方法であり、アレイの結果を組み合わせて解析することは機能ゲノム情報を体系的に取得する上で極めて有効である。発症年齢や部位の違いによる腫瘍特性の違いを遺伝子レベルで明らかにし、腫瘍発生のメカニズム、腫瘍特性に応じたオーダーメード治療へと応用が期待される。
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