研究概要 |
I. 滑膜肉腫のペプチドワクチン療法の第1相臨床試験 SYT-SSX改変ペプチドワクチン(1mg/body)+インターフェロンαの併用投与プロトコールを進行期滑膜肉腫2例に実施した.1例に重篤な有害事象として脳出血が発生した.ワクチンとの因果関係は不明である(厚労省に報告済み).抗腫瘍効果は1例がPD (progressive disease)であったが,他の1例はSD(stable disease)であった.すなわち2例中1例に抗腫瘍効果が認められた. II. 骨肉腫に対するPBFペプチドワクチンの第1相臨床試験 PBFペプチド1mgを不完全フロイントアジュバントと併用するプロトコールを進行期骨肉腫2例に実施した.皮膚掻痒感以外に有害事象は認められなかった.抗腫瘍効果は2例ともにPDであった. III. がん細胞異的CTLクローンの樹立と骨軟部肉腫幹細胞抗原の同定 Side populationとして分離した悪性線維性組織球腫細胞株MFH2003由来癌幹細胞を用いて,自家末梢血単核球を繰り返し抗原刺激している.その後は,得られたリンパ球をクローン化し,自家CTLに認識される癌幹細胞抗原をcDNAライブラリ発現クローニングで同定する. IV. ノックアウトマウスを用いた骨肉腫抗原PBFの生物学的機能解析 理化学研究所との共同研究としてPBFノックアウトマウスを作製した.F1マウス(pbf+/-)を得て,genotype PCRとsouthern blottingによるF1マウスgenome DNA解析を行った.現在ホモノックアウトマウス(pbf-/-)を得るために交配中である.
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