骨髄間葉系幹細胞との細胞間接着を伴う共培養で活性化された椎間板髄核細胞は細胞組織学的に安全であることが動物ならびにヒトのin vitroで確認され、臨床研究を継続中である。この方法の将来的な発展を考える際に、患者にとって必要な時期に活性化髄核細胞を提供することが必要となると考えられる。本研究では活性化髄核細胞の凍結保存後の再利用に関して基礎的に検討した。ビーグル犬(n=16)の胸腰椎髄核組織を摘出し、A)非凍結細胞群、B)酵素処理後の細胞凍結群、C)組織凍結群に分け、骨髄間葉系幹細胞との共培養後の髄核細胞の活性を比較した。細胞のviabilityは組織凍結群で約10%低かった。また細胞増殖能(MTT assay)では細胞凍結群、組織凍結群がやや低値であったが、有意差はなかった。基質合成能に関するGAG/DNAは組織凍結群で約40%減少し、aggrecanに関しても組織凍結群で約25%減少した。一方、細胞の自己複製能、分化度をコロニーアッセイで検討したところ、分化度の付着型コロニーは3群間に差はなかった。一方、未分化型コロニー数は組織凍結群で非凍結細胞群に比較し約50%増加した。以上より、非凍結細胞と凍結細胞にはviability、細胞増殖能、基質合成能に有意差はなく、今後凍結による活性化髄核細胞移植の可能性が示唆された。組織凍結後の細胞分散および骨髄間葉系幹細胞による活性化では未分化な細胞集団が濃縮して得られる可能性があり、より効率の良い細胞移植療法を企画する上で重要なデーターが得られた。
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