骨系統疾患の原因遺伝子の同定とその変異の解析、及びそれに基づく骨系統疾患の分子病態の解析、遺伝子レベルでの診断法の開発、遺伝子診断システムの構築を目的として研究を行ない、本年度は以下のような成果を得た。 1)DTDST(diastrophic dysplasia sulfate transporter)遺伝子の新規の変異を同定し、この変異と、既報のDTDSTの変異のcompound heterozygoteの患者が、常染色体劣性型の多発性骨端異形成症(multiple epiphyseal dysplasia)と捻曲性異形成症(diastrophic dysplasia)とDesbuquosis dysplasiaの中間の表現型を持つ骨系統疾患となることを発見した。 2)Ehlers-Danlos症候群の新規の原因遺伝子が亜鉛トランスポーター、SLC(solute carrier)39A13/ZIP13であることを世界に先駆けて発見した。Slc39a13/Zip13のknock-outマウスを用いて、分子病態を解析した。 3)蝸牛様骨盤異形成症(Schneckenbecken dysplasia)の原因遺伝子SLC35D1の新たな変異を発見した。これらはいずれも、機能喪失変異であった。蝸牛様骨盤異形成症類似疾患で、SLC35D1の変異を検索したが、変異はみつからなかった。よって、SLC35D1変異の表現型は蝸牛様骨盤異形成症に限られると考えられた。
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